世界の感じ方

沖縄県の八重山諸島のひとつの島である黒島が好きだ。島の形がハート型であることから「ハートアイランド」とも呼ばれる。レンタルサイクルで島を1周したとしても1時間程度の平らな小さな都会に住む者にとってはおとぎの国である。人口は200人程度で、島の主な産業であるの黒毛和牛の畜産数の方が10倍という南国の島だ。

お勧めスポットは黒島灯台のある岸壁からの眺望だ。辺り一帯は亜熱帯性の草花が生い茂り天然ソファーの趣。自然の芸術家が創りだしたソファーに腰を落として、じっと耳を済ませば、珊瑚礁のリーフに打ち寄せる白波の音、暖かい陽気に喜びを隠せない鳥たちのさえずりや島風など自然の音ばかりだ。12月末でも蝶が舞うその場所は、ずっと、そのまま眠りにつきたくなるようなまさに隠れ場所には抜群のところといえる。

しかし、そんな場所にいると、いつもふと思うことがある。
毎日、こうした自然の景色に囲まれて暮らす者と、コンクリート壁で囲まれた都会で、パソコン相手にバーチャルな世界を見ながらキーボードを打ち続ける者では、世界に対する受け取り方に随分差がでることになるだろうなあと。

黒島の体験は、人と自然の境界を自ずと消失させる。世界を見る者と、見られる世界が融合し合一するのだ。しかし、都会の生活は、人と世界が切断されるだけはなく、ますます遠のくかのようだ。黒島と都会では、世界に対する感じ方や変わってしまうといえる。

見る者と見られる世界の合一は、心身に何気ない心地よさや安心感をもたらす。しかし、見る者と見られる世界が二岐しては、心身は、どこかに不安感と孤立感を隠せなくなるといえる。 (定森 恭司)