この季節は桜の動向が気になって落ち着かない、という方が多いのではないでしょうか。

3月・4月ということで、いろいろ人生の節目的な出来事があり、そのことを桜に重ねるということもあるかもしれません。とはいえ、昔から日本では桜好きの人は多いから、やっぱり咲く時期だけの問題ではないとは思いますが。

今は桜が咲く頃になると落ち着かない私ですが、小学校・中学校あたりまでは格別好きではなかった気がします。むしろ花が終わった後の、ぽたぽた落ちてくる毛虫がいやで、桜の木自体を憎んでいたように思います。花がきれいと思うようになったのは、社会人になってからかもしれません。

私が印象に強く残っている桜は、ある外国籍の子どもの岡崎の教会でのお葬式の日、街中が桜吹雪だったことでしょうか。母親はどこかに行ってしまっていなくて、数少ない親族や同胞の参列だけの悲しいお葬式ではありましたが、こころのこもった暖かいものでもありました。あの日は本当に桜が舞っていました。

同じ桜であっても、どれだけ深く強く心を揺り動かされていた状況にいるかで、心への残り方が違ってくるのだろうと思います。気分で見ているのだと思います。当然といえば当然ですが。      (定森 露子)