生き辛さと病気・障害

生き辛さが、精神医学的疾病や障害概念からも説明され、これまでならば医療の対象とならなかった人たちに対しても診断や治療がほどこされる時代に入りました。

しかし、こうした傾向は、一歩間違うと、生き辛さの問題が、あたかも個人の抱える病理にすべて起因し、医学的治療だけで治るような錯覚を本人や周囲の人々にもたらしてしまう危険があります。しかも、こうした医療への囲い込み現象が、生き辛さを抱えている人の周囲で一旦作り出されてしまうと、生き辛さの問題をすべて病気や障害とされてしまうことを恐れる人にとっては、「治療される立場」として扱われていく自分の存在に、無価値、罪悪感や無力感を強め、生き辛さを一層増悪化させることになります。

生き辛さの問題は、身近な周囲の人たちの理解と適切な支援を得ることができるならば、病気や障害の有無に限らず、その辛さは和らぎ、場合によっては、より豊かな人生を発見・創造する契機となることだって多い事実を忘れてはなりません。

生き辛さの問題は、病気・障害の有無に関係なく、最初から最後まで、周囲の人や社会がいかなる態度をとるかに直結しているテーマといえます。       (定森恭司)