生成生滅の原理について

自己は、遺伝子に代表されるように生命体としての基本点な性質を持つとともに、宇宙開闢以来のさまざまな情報を継承してきています。しかも自己の内には、今・現在、自己が顕在化している性質の以上に、自己の内には、幾多の潜在的な未知の可能性を包含しています。

未知の可能性の中には、必要や状況に応じて、今・現在の私(我、現実主体)の生き方や性質を破壊してでも、潜在的可能性を顕在化させていこうとする自己超越的性質を内包しています。自己とは、今の私(我、現実主体)の維持への関心以上に、自己の中に内包する潜在的可能性を、いかにして外界の世界との出会いの直接体験を通じて自己実現していくかの方に強い関心をもっているのです。したがって、自己が、私(我、現実主体)の生き方に変容を迫ることは、ごく自然な流れであっても、私(我、現実主体)が自己に変容を迫ることは、とても不自然な行為となり、さまざまな症状や苦悩の要因となります。

ところで、遺伝子を含むさまざまな宇宙開闢以来の情報とは、ホロニカル心理学では、H主体(理)に相当します。H主体(理)とは、自己にも世界にも含まれていますが、可視的に見えるようなものではありません。パターン、法則、真理、数学、公理、規範、摂理など、「理」という形でしかその働きが把握できない類いのものです。しかも、ホロニカル心理学では、IT(それ)と呼ぶもの以外の「理」は、すべて絶対的な理とはなり得ず、すべてのH主体は、IT(それ)との一致に向かって変容していくと考えています。

こうした限界があるとはいえ、自己は、世界との出会いの中で、できるだけ世界と一致に向かうH主体を発見・創造しながら自己自身を自己組織化しようとします。

人の場合、自然の摂理のようなH主体(理)ばかりでなく、歴史や文化が含む社会的H主体(理)を含む世界が、自己の自己組織化に関与してきます。そのため自己にとっては、世界とは、自己に無理矢理一致を迫ってくるものとして実感されます。しかし、自己は、自己に制限を迫ってくる世界に対して、自己と世界が一致する方向に、自己自身を変容させようとするばかりでなく、自己にとって世界がより生き易くなるように世界自身を変えていこうと世界にも働きかけます。
通常、人の場合、自然の摂理とともに文化・規範や思想・宗教や倫理的規範などのH主体(理)が、ある一定のパラダイムとなって自己自己組織化を制限してきます。その結果、ある一定のパラダイムに一致する自己自己組織化に対してはH主体(理)は促進的に作用しても、ある基礎のパラダイムと不一致となる自己自己組織化や世界の働きかけに対してはH主体(理)は制限的に作用します。

しかしH主体(理)そのものも歴史的社会的流れの中で変化していきます。そのため数々あるH主体のうち、どれが自己と世界の一致をよりもたらすかは、自己と世界の出会いの場によって異なってくるため、確率論的にある程度予測することはできても、それを完全に予測することは不可能といえます。

こうしてホロニカル心理学やホロニカル・セラピーでは、自己と世界との一致を高めていくようなパラダイムをもたらすH主体(理)の発見・創造がとても重要と考えてします。    (定森恭司)