対人関係について

ホロニカル心理学では、対人関係を、「私の意識」と「他者の意識」といった主語的関係だけではなく、それぞれがひとつのにおいて、自律に存在する「自己」と「他己」として相互交流し、ひとつの場を協働的に創りだしながら、かつ、それぞれが新たな自己(他己)に変容しながら、再び新たな場を創りあげあっている動的な関係として場の立場から捉え直していきます。

「私という小宇宙」と「他者という小宇宙」が衝突し相互包摂関係を持ちあいながら新たな宇宙(場)を形成しあっている関係として捉え直しているわけです。

「自己」と「他己」とは、ただ単に自律独立した関係ではないのです。「自己」と「他己」は、それぞれ個性的な存在でありながらも相互包摂関係のうちに、「自己が他己を包摂し新たな自己」となり、「他己が自己を包摂して新たな他己」になりながら、「新たな一つの場」を創りあっているといえるのです。

場が対人関係に影響し、対人関係に影響しているのです。

※定森恭司

忘れられる「場」

現代人は、あたかも自分の意思で生きていると錯覚しているところがある。

しかし、ほんのちょっとだけ注意深くなって周囲を見渡せば、すぐに了解できることであるが、人の周りには必ず世界がある。一瞬一瞬のうちに生成消滅を繰り返している万物が織りなす世界があるのだ。こうした万物が変化する世界のなかに人は生きているのだ。

あまりに当たり前すぎることなのであるが、変容する場を離れては人は生きてはいられない。人は、場に影響を受け、場に影響を与えて存在しているのだ。人と世界が相互に影響しあって存在していることが、生きることにほかならない。

ところが、これだけ大切な「場」でありながら、人はすぐに「場」を忘却してしまう。場がつくりだしている「音」「匂い」「温度」「風の流れ」「明るさ」などをすべて忘れ、あたかも自分の意思だけで生きていると思い込んでしまうのだ。しかし、そうした生き方では、世界からの孤立感ばかりが増大し、孤独の存在への不安から永遠に救われることはないだろう。逆に、場との密接なつながりを再確認できるならば、孤立感から救われる可能性がそのたびに広がることになるだろう。     (定森 恭司)