共に変化する関係の構築

相手を変えようしても上手くいかないときには、自らが変容すると相手も変容するとよく言われます。しかし、こうした変容のプロセスをよくみていくと、相手が変容するのでなく、自分と相手との関係自体の変容が、相手の変容をもたらしていることがわかります。無論、上手く変容しない場合もありますが、人間関係が上手くいく場合とは、関係自体の変容が常にあるためといえます。

相手を変えようとしているときというのは、自分は問題ではなく、相手が問題だと外罰的になっています。しかしこうした態度は当然のこととして相手には強い警戒心をもたらします。しかしながら、自分も多少なりに態度を変えることによって、問題を問題として扱っていた関係そのものに小さな変化が起きて、やがて局所的変容を可能とする新しい関係の成立が、やがて大きな変容につながっていき、問題自体が変容していくわけです。

人間関係における変容には、ひとりひとりの人に知らずのうちに取り込まれていた「常識」「健常」「普通」「正常」「善」「正しい」「正義」の思考の枠組み自体の変容が迫られていると考えてもいいでしょう。

(定森恭司)

対人関係について

ホロニカル心理学では、対人関係を、「私の意識」と「他者の意識」といった主語的関係だけではなく、それぞれがひとつのにおいて、自律に存在する「自己」と「他己」として相互交流し、ひとつの場を協働的に創りだしながら、かつ、それぞれが新たな自己(他己)に変容しながら、再び新たな場を創りあげあっている動的な関係として場の立場から捉え直していきます。

「私という小宇宙」と「他者という小宇宙」が衝突し相互包摂関係を持ちあいながら新たな宇宙(場)を形成しあっている関係として捉え直しているわけです。

「自己」と「他己」とは、ただ単に自律独立した関係ではないのです。「自己」と「他己」は、それぞれ個性的な存在でありながらも相互包摂関係のうちに、「自己が他己を包摂し新たな自己」となり、「他己が自己を包摂して新たな他己」になりながら、「新たな一つの場」を創りあっているといえるのです。

場が対人関係に影響し、対人関係に影響しているのです。

(定森恭司)