瞬間の違和感の増幅・拡充

クライエントが言葉にする前の違和感に焦点化し、その非言語的身体的感覚を増幅・拡充することで、クライエントが日頃強迫的に観察主体と観察対象をめぐって反復している悪循環パターンが明らかになります。身体的違和感とは、自己と世界の不一致の感覚でもあるためです。

クライエントが観察主体と観察対象をめぐる悪循環パターンを実感・自覚すれば、少しでも違和感が減じる方向に向かって観察主体の視点や身構えを変えたり、観察主体と観察対象の関係自体の見直しを図ることが可能となります。

このとき大切なことは、クライエントの抱く不一致感に対して、カウンセラーが徹底的に一致することです。そうすることで、クライエントは自己と世界をめぐる日頃の不一致感をカウンセラーとの間では一致するという相矛盾する体験を同時に実感・自覚することが可能となります。不一致の体験を一致する体験を自己照合の手がかりにして、クライエントは観察主体と観察対象の関係が、少しでも自己と世界の一致する方向に向かって自己を自己組織化することが可能となるのです。

(定森恭司)

身体の体験過程への焦点化

まだ身体が曖昧なままに感じている直接体験の体験過程に集中すると、過去を含み未来が開けてくる今・この時にうごめいているものが明らかになります。そのうごめきには、緊張・弛緩、不安・安心などの感覚や、情動・感情などを含むすべての体験が渾然一体となっていて、いずれイメージや言葉になっていくもののすべてが含まれています。

しかもこうした体験過程に焦点化していると、そこには人それぞれの独自の自己と世界との関係性のパターンが浮かび上がってきます。

セラピーは、そうしたパターンをめぐって展開され、そのパターンが変容していくこととセラピーの変容とパラレルな関係にあります。

(定森恭司)

呼吸について

呼吸に意識を合わせることは、今・ここに意識を合わせることにほかなりません。

自己と世界の直接体験そのものに意識を合わせることもであります。
この時、呼吸以外のことに、身体的違和感を感じなくなり、かつ一切の雑念や想念が起きなくなるまで、ただひたすら呼吸に無心なることができれば、自己と世界の無境界的体験であるホロニカル体験を得やすくなります。

(定森恭司)

身体に刻み込まれた情動や感情

身体には、情動や感情などの記憶が深く刻み込まれています。しかし、人はなかなかそのことに気づきません。身体に繰り込まれた感情や情動の多くは、もはや無意識的なものとなって身体と一体化してしまっているからです。

その意味では、無意識とは、何か心的なイメージや考えが、外界に投影されてはじめてその存在を知る得るものだけではなく、身体の中に繰り込まれていた喜怒哀楽や不快・快といった情動や感情に気づく時にも意識化できるものともいえます。

身体で本来感じているものを意識化することは、まさに自然に身体が世界と出会いながら感じながらも抑圧したり否認してきたものを意識化することにほかならないといえます。

(定森恭司)