外我と内我(1):我(現実主体)の2つの機能

現実主体(我)の機能には内我と外我の2つが考えられます。

内我が目の前のコップに触れること、外我が前の前のコップを見ることとの間には大きな差異があります。

この差異は目をつぶってコップを探してみるとすぐにわかります。
コップに触れるまでの間は、手や腕といった身体的自己をより実感しますが、逆に世界はとても不確かな手がかりのない空疎なものに一気になってしまいます。

しかし目を閉じていても、コップに一度手が触れた途端、私たちはその接面に自己と世界の出あいの確かな結びつきを実感し、一気に世界への不安は払拭され安堵します。

私たちは、外我で世界を見ているだけではなく、内我が自己及び世界と触れている感覚を直覚できないと、生きているという実感を得にくくなってしまうのです。