“こころ”の専門家とは誰のことか

専門家と非専門家とが対等の立場でワイワイガヤガヤと相互交流できる時に、もっともよき問題解決策が創発されるものです。

心理学の専門家は、非専門的な立場にある人の“こころ”の可能性を広げることのできる存在でなければなりません。専門性とは、心理学の門外漢に対して、心理学の専門的知識を披露したり感化することにあるわけではないのです。

“こころ”の問題に関する限り、解決の主体は実は専門家の手にはないのです。

“こころ”の問題に関する限り、専門性とは、“こころ”の問題を抱えている人自身が、自らの抱える心的問題を自ら解決していけるように支援できる限りにおいてはじめて意義があるといえるのです。

“こころ”のことに関する専門家とは、心理学に関しては非専門的であろうとなかろうと、その問題を抱える人の問題解決の主体性が回復したり、拡充・強化できる人でなければならないのです。

もっと正確にいうならば、“こころ”自身に問題解決の力があることを信じることができる人が専門家といえるのです。