外我と内我(4):外我と内我の対立する時代

現代日本では、ホロニカル心理学でいう外我によって内我が抑圧され制御されるようなかつて神経症的といわれる人が減少してきたと思われます。そして外我が内我を抑圧するようなタイプの人に代わって、外我と内我が相対立したり、両者の間に対話が成立しなかったり、外我優位かのときと内我が優位なときが混在したり、または両者は交互に出現する人が増加してきたと思われます。

内我は内的対象関係ばかりに意識が向き、外我は外的対象関係ばかりに意識が向き、両者に適度な対話軸がなく、ひたすら激しい覇権争いをする様相を示すようになってきたのです。

しかしこうした外我と内我の相克に対して、外我も内我も無となって、すべてをあるがままに観察することのできる適切な観察主体が樹立されれば、観察主体に包摂される時空において、外我と内我の対話が成立し、対話のうちに自ずと新しい自己と世界、自己と他者の関係を構築する新しい生き方(ホロニカル主体:理)が創発されることが可能となります。