苦悩の多因多果性

 

赤富士

自己にとって自分の思うようにならぬ世界が苦悩となります。その意味では、自己の死が避けることが出来ぬように、自己にとって世界は常に非情なものでもあります。

自分の思うようにならぬ世界とは、自己と世界の不一致の状態といえます、ホロニカル心理学では、自己と世界の不一致の累積が苦悩をもたらすと考えますが、ある苦悩には、過去・現在・未来を含む多因多果な要因が複雑に絡み合っていると考えます。

例えば、ある児童の不登校状態の要因は、単純な因果論では捉えきることができないのです。しかし、逆に考えれば、複雑な要因は多層多次元にわたって絡み合っているだけに、どの局面における変容も、他の多の多層多次元にわたる変容に縁起的に影響すると考えることが可能です。そこで不登校の問題でいえば、まずは不登校問題をめぐって生じている“こころ”の内・外の変容可能性のもっとも高い悪循環パターンの変容を試みることが、実践的には重要と考えられるのです。

当事者及び当事者を囲む人が、まずは悪循環パターンを適切に俯瞰し、具体的に達成見込みのある小さな変容を丁寧に積み上げていくことが肝要と考えられるのです。