“こころ”の論理

“こころ”の働きには、時代や文化を超え、万物を形成してきた論理が含まれていると考えられます。ホロニカル心理学では、“こころ”の論理でもって、一切合切を全総覧し、一切合切を包んでいる絶対的な主体を、「それ(IT)」と概念化しています。

「それ(IT)」には、特殊なるものに関する理と、一般的なるものに関する理及び、特殊なるものと一般的なるものの関係に関する理が含まれていると考えられます。特殊なるものは、かけがえのない個性的個物を創りだす理であり、一般的なるものは、より普遍的な理と考えられます。「それ(IT)」には、すべてを一なる普遍的なものとして統合する理と、多なる特殊なものを形成するという相反する理を同一に持っていると思われるのです。「それ(IT)」は、本来、一なる宇宙が、多様な個性ある万物や無常に変容する多層多次元な世界を一瞬・一瞬、創り出している論理ではないかと考えているのです。

そして、ホロニカル心理学では、特殊と一般の極限のミクロ(より部分、より特殊、より自己より)の点から極限のマクロ(より全体、より一般、より世界)よりに至るまで、ミクロがマクロを包摂しようとし、マクロがミクロを包摂しようとしながら、ミクロとマクロが自発自展的にホロニカル関係を形成する論理が、「それ(IT)」に含まれていると考えているのです。究極の無限のミクロの点を自己組織化するところに量子の振る舞いが考えられ、究極の無限のマクロの球を自己組織化するところに宇宙の形成が考えられます。そして、究極のミクロの点から究極の球の間に、多層多次元にわたる現象世界(この世)が考えられるのです。

しかも、究極の無限のミクロの点と、究極の無限のマクロの球が、その究極において、「特異点」「ゼロポイント」「絶対無」「空」として一致していると思われるのです。その間に一切合切が自己組織化するところに宇宙の形成が考えられます。

一切合切は、ミクロとマクロが相矛盾しながら同一にあろうとすることによって、ミクロとマクロの関係が自発自展しながら、多層多次元にわたるホロニカル関係を瞬間・瞬間に非連続に同時顕現化することによって、自己及び世界を創造していると考えられるのです

ホロニカル心理学では、「IT(それ)」は、ミクロとマクロが絶対矛盾的自己同一にありながら、ホロニカル関係の自発自展をもたらす論理をもっていると考えているのです。