第3段階

自己意識の発達が、第3段階にある被支援者の我(外我と内我からなる現実主体)は、次のような特性を持っています。

外我は、幻想的ホロニカル主体(理)を内在化した内外融合的傾向が強く、内我は、誇大的万能的傾向が際立ちます。

その結果、被支援者が支援者の言動に幻想的なホロニカル主体(理)を投影し続けられている限り、内我は被支援者に同一化し高揚気味に支援者を理想化し続けますが、少しでも不一致感を抱くと誇大的万能的内我はすぐに傷つき、支援者の価値を切り下げたり、支援者への憤怒を制御できなくなりがちです。

そのため自己意識の発達が第3段階にある被支援者への心理社会的支援は、喜怒哀楽の変転が激しい展開になるのが一般的で、支援者も被支援者の激しい理想化と価値の切り下げにさまざまな感情が引き起こされることが避けられません。

しかし支援者が、あらかじめ被支援者のとても傷つきやすい自己意識の発達段階の特徴を理解していることができていれば、支援者の対応も著しく異なるものになります。特に、被支援者の外我と内我をめぐる内的対象関係と支援者と被支援者との外的対象関係との自己相似的パターンを理解できる分だけ、支援者は、より被支援者の傷つきやすさを受け止めることが可能になります。

支援者が、被支援者の言動を理解することができず、どのように受けとめたらいいのかと戸惑って、一瞬視線を下方に落とした途端、これまで被支援者の陽性的気分が暗転し、被支援者は、「今、先生は、私のことを鼻で笑ったでしょう」と、支援者が思ってもいない事を言い出したとき、さらっと、<どうも私のちょっとした仕草が、あなたにとっては自分があたかも馬鹿にされたように思ってしまったようですね>といった対応が可能になるのです。