内的世界と外的世界

ホロニカル・アプローチでは、内的世界と外的世界を共に扱います。では、共に扱うとは具体的にはどのようなことを意味するのでしょうか。

対人援助の世界では、内的世界と外的世界は、暗黙のうちにお互い相手の領域を犯さないという感覚によって分断され棲み分けがされています。たとえば、内的世界は心理が扱い、ワーカーは外的世界を扱うといった感覚に基づく棲み分けです。内的世界は心理、身体は医師といった棲み分けも同じです。

しかし、ちょっと考えてみればすぐにわかることですが、内的世界の変容は外的世界の変容をもたらし、その逆も同じです。身心の関係も同じです。

ホロニカル・アプローチが、「内的世界と外的世界を共に扱う」と強調するのは、当事者不在の専門家同士の勝手な利害調整ともいえる棲み分け論に疑問を抱いているからです。内的世界と外的世界が、いかなる関係を持っているのかについて、もっと積極的に探究すべきと考えているからです。

当事者の立場にたつならば、内的世界の変容が外的世界の変容にどのように関係し、外的世界の変容が内的世界の変容にどのように関係するかを対人援助職の人と協働して明らかにしていくことを求めていると思われます。