ホロニカル・アプローチにおける基本的な考え方
ホロニカル・アプローチの基本的考え方 (2024.1.26,定森恭司)
1. 効果的な統合的アプローチの実践に裏付けられたさらなる理論化と技法の研究。
2. “こころ”の現象に対する既存の理論や技法の併用活用による混乱を避けるために、既存の理論や技法の差異を観察主体と観察対象の組み合わせの差異として俯瞰的に捉え直すことによって、統合的観点から柔軟に活用する道を探究する。
3. 治療モデルとは異なる支援モデルの探究(両者の併用は可能)。
4. 専門家中心になりがちな支援を転換し、支援者と被支援者が共同研究的協働関係を構築しながら、共により生きやすくなる人生の生き方を共創的に発見・創造する。
5. 観察主体と観察対象の組み合わせの微妙な差異だけでも変化する一瞬・一瞬を、無批判・無評価・無解釈の立場からあるがままに俯瞰することを重視する。
6. 内的世界か外的世界の差異を問わず、被支援者に生きづらさをもたらしている出来事を小物や非言語的手段を活用しながら、できるだけ可視化・外在化し、支援の場で支援者と被支援者が問題を共有できるようにする。
7. ホロニカル・アプローチの基本モデルであるABCモデルで示すように、自己と世界の出あいの不一致からもたらされる自己違和的体験(A点)と自己と世界の一致からもたらされるホロニカル体験(B点)の行ったり・来たりを、適切な観察主体(C点)から俯瞰することを重視する。
8. 俯瞰は、「共創的俯瞰」による。「共創的俯瞰」とは、支援者と被支援者が共同研究的協働関係を構築し、一緒にA点とB点の行ったり・来たりの人生を俯瞰していくことを指す。共創的俯瞰を体験した被支援者は、次第にさまざまな出来事をあるがままに俯瞰することを身につけていくことができるようになっていく。
9. 相談室・指導室・面接室・診察室での対応にこだわることなく、被支援者に生きづらさをもたらしている日常生活が、より生きやすくなるような場づくりを目指す。