自己組織化
エリッヒ・ヤンツは、ミクロの世界からマクロの世界に至るまで、自己組織化のパラダイムを使って、宇宙の姿を明らかにしています。同じようにスチュアート・カウフマンも、複雑なシステムの理解においては、単純な部分や要素に分解していく要素還元主義的理解や自然淘汰理論による理解では限界のあることを指摘し、宇宙を貫く複雑系の法則としての自己組織化の論理の有効性を提起しています。
自己組織化とは、生命現象や社会の成立プロセスが、混沌状態から複雑な構造が自律的に形成されていくことです。
ホロニカル心理学では、自己も、自己と世界の出会いの中で、混沌としていた自己自身が世界との一致を求めて複雑な構造になりながら自律的に自己組織化していくと考えています。
複雑なものへという表現では、なにか自己が上昇向上していくというイメージを持ってしまいますが、自己の自己組織化のプロセスは、自己と世界の一致を求めて、自己が、もともとの全一性の原点に向かっていくような円環的なものといえます。
この時、自己組織化の原理が、ホロニカル主体(理) です。
臨床心理学には自己実現という概念があります。自己実現は、人格の完成や円熟性を意味します。これに対して、ホロニカル心理学における自己組織化は、内面的な人格の円熟だけではなく、自己と世界の関係を、より深く体験したり認識していくという意味を含みます。
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