心理相談とは(3):薬物療法の考え方との違い

“こころ”の現象をの神経生理学的反応とし、その反応の現象をよりミクロ化し、その反応を引き起こす対象の物質をより厳密に定義し、その定義した対象の生化学的反応の特徴を明確に測定し、その反応をコントロールする薬を開発して投与すれば、定義された症状の消失ないし変容をはかることは今後とも可能となるかも知れません。眠れない人が薬で眠れるようにもなるでしょう。幻覚妄想に効果のある薬も開発されるでしょう。もっと気分をあげる薬も開発されるでしょう。

しかし、薬によって生化学的反応に変化が起きることと、人生がこれまで以上に意味のある生き生きとしたものとなるかどうかが別の次元であることを忘れてはなりません。また不眠や幻覚をもたらす心理社会的要因にも丁寧に対応していくことが大切です。生き辛さが、真により生き易い人生として創造され発見されたかは、気分の変容も十分影響するが、気分だけの問題でないことは明かです。

不安を引き起こす生化学的レベルの研究を進め、薬物治療によって不安を消去ないし減じることをする薬物治療の考え方は生物精神医学上の不安の扱いです。

それに対して、不安を心理社会的に捉える時には、不安を除去するとか、無くすというのは馴染みません。むしろ、不安によって生き辛くなっている人生が、どのようにすればより生きやすくなるかという道を探すことが目的となります。このように臨床心理行為は医行為とはまったく異なる行為といえます。

その意味では、心理相談は、被支援者が医療に関わっていようが、宗教に関わっていようが、自己や世界との出あいについて見つめなおし、よりよき人生を再発見・創造したいという人なら、誰にでも門戸が開かれているといえます。