支援者の共感に不慣れな被支援者

AIで作成

児童虐待など長期にわたって過酷な生活環境に生き延びた被支援者の多くは、慈悲深く、優しく配慮のある支援者の言動や誠実な態度に遭遇し、どのように対応したらよいのか戸惑うことがあります。支援者の共感的態度に被支援者は、これまで体験したことのない対人関係に戸惑ってしまうのです。馴染みのある体罰・威圧・否定・罵声以外の対応に混乱をきたしてしまうのです。

また共感的態度が不適切な絆とはいえ、これまで生活を共にしてきた人たちとの差異が、むしろこれまでは解離や切り離しを図ってきた感情を活性化させ、これまで以上に苦痛を感じ出したり、辛くなってしまうことすらあります。また過酷な生活の中にもあった良き思い出でさえ色褪せてしまう喪失感への不安を抱く場合すらあるのです。

支援者は共感的態度が被支援者にもたらすこうした体験プロセスを、支援の場で、あるがままに包み込むことのできる力を求められます。

支援者が自分の自己愛を見たすかのようにして、被支援者の心的痛みに、共感しようとするとき、被支援者はそうした支援者の態度に、最も傷つきます。もっと悪質な支援者は、対応の仕方の内省には向かわず、被支援者の病理や問題がいかに重篤であるか力説し出します。

真の共感とは、しようするものではなく、支援の場の中から、すべてを包む込むものとして立ち顕れてくるものといえるのです。そこまでいく作業が、重篤な事例では、困難を伴う作業となるのです。