共創的支援の事例(4):「アンガーマネジメント」の受講勧奨に抵抗を示したある母親

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共創的支援の事例(3)の続き

児童福祉司Bからの説明が終わると、母親Xは「この子の仕草が別れた夫と一緒と思うと、すぐにカットなってしまって・・・親にいつも殴られてあれほど嫌だったのに、つい自分にもあんな親と同じ血が流れているから、ついカッとなって手が出てしまう」と力なく、かつ物悲しそうに語ります。すると、そうした母親Xの態度に刺激されるかのようにして、子どもYも、「僕もすぐカッとなってしまう」と語りだします。

時々ユーモアを含む共創的支援のパラダイムに基づく児童福祉司Bによるファシリテーションは、面接開始当初の張詰めた場の空気を、支援者一堂が、傷つく親子を優しく包み込むようなほどよい容器への変容を加速化させていきます。そして、今回の問題は、母親Xに原因を帰属できるような単純な問題ではなく、いろいろなことが複雑に絡みあっての問題との理解が促進されていきます。その上で、児童心理司Cからは、「今回の問題は、血の問題ではなく、トラウマ反応としてのカッとなってしまうという怒りやすさであって、もっとカッとなる点に問題を絞って、みんなで、私だったら、そんなとき、○○するとどうかなと、いろいろと具体的対応案を出し合ってみたらどうだろうか」との提案が示されます。すると、上司Dからも、「みんなとても忙しい中集まって話し合ったいくとしたら、今後の合同面接の目的をトラウマ反応への対応に絞ること」への支持が示されます。このとき、瞬母親Xも子どもYも頷きます。しかもほぼ同時に相談員Aも児童心理司Cも共感的態度を示したことに児童福祉司Bは気づきます。

児童福祉司Bは、前回の注意喚起的指導の時の親子の反応とは異なり、場の雰囲気がひとつになってきたタイミングの大切さを実感・自覚し、次回以降の合同面接の進め方に話題を移していきます。

合同面接では、母親Xや子どもYや相談員Aや児童相談所職員の日程の折り合うところが「開かれた対話」に中に決まっていきます。参加者は、今回同様のメンバーとすること、次回以降の2回は隔週開催。その後の開催間隔は、親子関係の変化をみながら決めていくことなどが合意されていきます。

そして児童児童福祉司Bは、会のネーミングの愛称の命名を親子に求めます。すると、母親Xは子どもYに「どうする何かある?」と聞き、子どもは「カット虫退治大作戦」と即座に発言し、一堂爆笑となり、即採用となります。

みんなが向き合うべき最大の課題が、子どもYによって「カット虫」という形で、誰かの問題ではなく、「問題の外在化」が可能になったのでした。

(続く)