ホロニカル心理学:“こころ”の統合性と多次元性

ホロニカル心理学は、”こころ”の統合性と多層多次元性を探求する学問です。”こころ”は、感覚、注意、記憶、情動、気分、感情、思考、認知、行動、意志など、多岐にわたる現象に分類されてきました。深層心理学では、意識、前意識、無意識という枠組みで”こころ”を解釈し、ユングは個人的無意識層と集合的無意識層を区別しました。フロイトは、エス(イド)、自我、超自我という心的構造を提唱しました。

仏教では、”こころ”は52種類の心所に分類され、最近の「心の哲学」では、”こころ”の現象は脳の機能や神経活動に還元する傾向にあります。こうした異なる捉え方は、”こころ”の理解に混乱をもたらしています。

しかし、ホロニカル心理学では、”こころ”は本質的に統合的であり、多層多次元に識別される現象も、一なる”こころ”の表れと捉えます。観察者の基準によって”こころ”が多層多次元に見えると考えられています。”こころ”の現象は、全一の”こころ”が多層多次元に展開されるものであり、一即多・多即一の現象です。

“こころ”の統合性が最も働くのは、観察主体と観察対象が一体となり、無我の状態にあるときです。このとき、多層多次元に識別された現象世界は、あるがままの全一の統合された世界として現れます。

ホロニカル心理学の根底には、”こころ”の統合性をいかに活かすかという問いがあります。観察主体が無我となり、観察対象の境界が消融するホロニカル体験は、非言語的で事後的に理解される体験です。