児童福祉の現場は、児童虐待、発達障害、非行、不登校、いじめ・いじめられといった多層多次元にわたる複雑な課題に直面しています。これらの問題は、単一の理論や技法に依存するアカデミズムの枠組みを超え、ホロニカル・アプローチに代表されるような統合的な観点での実践的アプローチを必要としています。しかし、理論と実践の間には、依然として顕著な乖離が存在します。
この乖離は、教育者や研究者が実践経験を積む機会が少ないこと、実践現場からの遠ざかり、そして新しいアプローチを模索する意欲の減少に起因していると考えられます。それにもかかわらず、児童福祉の現場は、社会の変化と共に複雑化し続け、児童問題の様相も変わり続けています。
児童福祉の現場は、子どもたちの生きづらさを軽減するための心理社会的支援の創造的な実践の最前線です。アカデミズムは、これまで十分にこのような現場を支えてこなかったと言えます。今後は、アカデミズムがフィールドワークを通じて現場に足を運び、実践を直接支援することで、理論と実践の間のギャップを埋める必要があります。