貴理子の「ただ観察」(架空事例)

AIで作成

※架空事例:いろいろな事例を組み合わせて創作されています。

<登場人物>
貴理子:19歳。高校を中退し、週に2日ほど短時間のバイトをしている。普段、家の中ではパジャマ姿でいることが平気であるが、いったん外出時となると、人目を過剰に意識し、服装やスタイルが気になり、求めるイメージに沿って完璧にしないでいられない面がある。そのため、時としてその準備に3時間以上を費やすこともある。

カウンセラー:50代の女性。ベテランの女性(以下、Coと略記)
場所:若者向けの民間の相談機関の6畳ほどの面接室
支援構造:隔週で1時間の1対1での面接室での個別相談。

<ある日のセッション>
一見、時々見かけるゴスロリ風の少女かと思うが、よく目を凝らしてみれば、もっとミステリアスで、かつ洗練された大人びたエレガントが醸し出されているスタイルで、貴理子は来室する。これほどの出来映えだと、いつも以上に、行き交った人や地下鉄の中などでは、瞬く間に人々の視線を奪ったことだろうと推測するCo。しかしながら、面接室の椅子に腰掛けた貴理子は、疲れた表情で語り出す。

貴理子:「出かける前に、出かける寸前に黒のベルトを忘れたことに気づいて・・・。時間がなくて、まあいいやと思って・・・それは自分でもよく諦めることができたと思ってたけど・・・それはいいんだけど、電車の中では、もうこんな感じで・・」と、指数関数のようなグラフを右手を使って空中に描く。

Co:貴理子の仕草を真似しながら、<電車の中では、こんな感じだったんですね>と鏡映的に照らし返す。

貴理子:「そう、そんな感じ・・・緊張が高まる感じ・・・」

Co:<そうか、緊張が高まっていく感じだったですね>

貴理子:「そう」

Co:<ところで、電車の中で、指数関数的に緊張が高まっていく感じだったんですね>

貴理子:「胃の不快感がどんどん盛り上がってくる感じ」

Co:<目をつぶって、その時の胃の盛り上がってくる感じを思い出してみてくれる。ただし、思い出した時に、なんとかしようとせずに、その感じを、そのままじっと観察してみてくれる。そして、色、大きさ、動き、リズム、重さなど、なんでもいいのでわかってきたら教えてくれる>と、「ただ観察」を実施します。

貴理子:「何をするでもなく、そのままそこにいる。微妙に光沢がある」

Co<それは、何をするでもなく、そのままそこにいて、微妙に光沢があるんだね。では、そのまま続けてみてください。その時、なんとかしようとせずに、ただ観察していてください。そして、そのままそこにいる微妙に光沢のあるものに何か変化があったら実況中継のように教えてください>

貴理子:「黄色のようなものがぐちゃぐちゃになっていった。背景が白から黒になってきた」

Co:<黄色のようなものがぐちゃぐちゃになっていった。背景が白から黒になってきたんですね。そのままただ観察し続けて何か変化があったら教えてください>

貴理子:「黄色のようなものが玉のようになって、そのまわりが黒色になってきた。ああ、赤と青の玉も出てきて、黒と黄色が混ざり始め、黒と黄色が溶けていって、ああ溶けて白になっていく・・・赤と青は、黒の淵にそのままいる・・・ああ今度は、赤と青が重くなってくる・・そして青が重くなると黒になっていく。そして赤と一緒に青も、後ろの白の背景に沈んでいく。沼に入ったように・・なくなりそうにない」

Co:<赤と青はどうなりたがっているみたい?>

貴理子:「無くなりたがっている」「無くなりたがっているけど、なくなることができなさそうな・・。ああ、ゆっくりと白が呑み込みました。白のアイスクリームのような世界になってきた・・・幸せ」

Co:<アイスクリームのような白の世界になって、幸せな気持ちなのですね。では、そのアイスクリームのような白の世界の幸せをしばらく味わって見てください>
Co:<しっかりと今の気分を味わったと思ったら、ゆっくりと目を開けてください>

しばらくして、ゆっくりと目をあける貴理子。アイスクリームは好きな食べ物とのこと。Coが、電車の中での胃の不快感を思い出していたときの胃の感覚と、「今・この瞬間」の胃の感覚の差異を求めると、「違う」と笑顔になる。

<その後>
貴理子は、人目を引く格好をしているため、人目を気にしていないように見えますが、実は、いつパニック発作が起きるかという強い不安が常日頃からありました。しかし、「アイスクリームを食べる」といったイメージの想起のほか、「甘いジュースを口にする」「好きなアニメのキャラクターの映像を見る」「お気に入りの音楽を聴く」など、少しでも自己違和的な気分になったときには、さまざまな対処法によって対処していく力を身につけていくようになっていきました。