今日、心理療法の領域では、認知行動療法、家族療法やナラティヴ・セラピーなど、多様なアプローチが存在します。これらの中で共通して用いられる技法の一つが「問題の外在化」です。この技法は、被支援者が直面する問題や症状を、自己の内面から切り離し、対象化することを可能にします。これにより、被支援者は自身が抱える問題に対して、より客観的な視点から向き合うことが可能となります。
対話型支援の一つであるホロニカル・アプローチでは、この「問題の外在化」がさらに深化されます。被支援者と支援者が協働し、外在化された問題自体を共同で定義していくのです。協働作業で定義された「外在化された問題」について、被支援者と支援者が問題解決の道を共創的に発見・創造していく場を構築します。
これは、支援者が被支援者の抱える問題を単に見立てて判断を下すという、従来の治療的アプローチとは一線を画します。面接の開始時に、「今日はどんなテーマについて取り上げましょうか」と支援者が提案することも、この「問題の外在化」の協働作業の開始を宣言する一環と言えます。「調子はどうでしたか」という問診的質問は、治療者的立場からの問いかけであり、これとは異なるアプローチを示しています。