
言葉に上手く表現できない被支援者の苦悩に対して、既成の言葉や概念(診断的概念や一般化された解釈)をパズルのピースのように当てはめ、あらかじめ用意されたアルゴリズムに従ってオーダーメイドのように効率性を重視するような支援は、本来の心理社会的支援とは言えません。苦悩を共有し、共に少しでも生きやすい道を発見・創造することが心理社会的な対人支援の王道であり、その原点です。
しかし、専門機関への紹介を目指して、苦悩そのものに対処するのではなく、まずは発達障害、虐待、パワハラ、モラハラ、気分障害、統合失調といった名前を与えることに奔走する支援者が増えています。地道に被支援者との信頼関係を築きながら、被支援者の苦悩を共有し、共に問題解決の道を発見・創造していくような支援者は、効率性が低いとされて脇道に追いやられ、「あなたのために」というトーンで、他の機関への紹介だけを行う支援が主流になりつつあります。
現在では、対人援助が市場化され、支援者が増えるにつれて、支援者の対象となる被支援者も増えていく傾向が見られます。
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※心理社会的支援の原点について考える時、被支援者の苦悩を共有し、共に生きやすい道を発見・創造することが重要です。しかし、現在では、名前を与えることに重きを置く支援が増え、本来の支援の形が見失われつつあります。対人援助が市場化され、被支援者が増える一方で、真の支援とは何か、原点回帰の必要性を再認識する時です。