
被支援者の抱える問題を外在化し、支援者と被支援者が共に外在化された問題を俯瞰しながら、より生きやすい道を共に模索するホロニカル・アプローチの一つに「当事者参加による共創的支援」があります。
この共創的支援において、支援者と被支援者の関係はこれまでの関係とは全く異なります。従来のアプローチでは、支援者は被支援者の抱える問題を客観的に評価し、専門的知識や技術を用いて問題を治療、改善、もしくは更生させる役割を担っていました。しかし、共創的アプローチでは、支援者と被支援者は対等な関係であり、共に問題解決を目指します。また、さまざまな問題解決案の中から何を採用するかを決定するのは被支援者自身であり、支援者はそのサポーターとなります。ただし、被支援者が自己決定した内容については、共創的支援のチーム全体が共同責任を負います。
共創的支援では、支援者が被支援者の言動を観察するだけでなく、被支援者も支援者の言動を観察します。対話は、問題解決を目的とする限り、支援者や被支援者の誰に対してもいつでも開かれており、自論を展開する場ではなく、互いの発言から新たな洞察や気づきを得ることを重視しています。専門家が支援者として参加する場合も、一人の人間として参加します。