自由とは

自由とは、他者からの干渉を排し、自己の意志を全面的に貫徹するような、独占的・独我論的な自己主張を意味するものではないと思われます。むしろ、他者が同じ場に存在しつつ、自らの表現に対して一定の応答が返されること、そしてその応答が必ずしも共感を伴わなくとも、対話的関係の中で自己の表現が一定の尊重を受けることにこそ、自由の基盤があるといえるのではないでしょうか。

すなわち、相互の自己主張が尊重され、各人がその場に「自分として」存在し得る状態こそが、自由と呼びうるものだと思われます。他者からの応答を欠いた自由は関係性の断絶をもたらし、結果として孤立へと帰着するといえます。

さらに自由とは、一つの出来事に対して多義的かつ複雑な意味づけを、自らの感受性に基づいて行い、それを語ることが可能であるという点にも見出されます。他者とは異なる仕方で世界を捉え、その差異を保持しうることが、自己の存在の自由を意味すると考えられるのです。

他者との完全な一致や差異の消失は、むしろ自己同一性の喪失につながりうると考えます。