直接体験(1):前言語的体験

 

ビックバンのイメージ

深層的体験とも言える直接体験を、何かの意味をもった言葉でもって表現することには限界が伴います。言葉によって表現しようとした途端、言葉が本来言詮不及の直接体験を狭い意味に限定してしまい、直接体験そのものから遠ざかってしまうからです。

そのため直接体験の表現は、どうしても身体感覚的な表現、イメージ的な表現、象徴的な表現や、詩的な表現になります。直接体験とは、気分的了解であり、無反省的、前反省的、非言語的、前言語的なものといえるのです。

直接体験レベルで、自己と世界の不一致ばかりが続くと、自己にとって世界は底無しの暗闇となります。しかしながらいつも自己と世界の一致する直接体験だけでは、自己と世界の関係の両者にまったく区分がなくなり無境界となってしまい、自己も世界の実感・自覚もなくなります。

結局、絶え間なく生成・消滅する自己と世界の不一致・一致の繰り返しの実感・自覚こそが、自己を含む様々な事物事象が確かに存在することの基盤を自己に与えていると言えるのです。