親密な他者(3):ほどよい距離をもった他者

個性化の進んできた現代社会では、激しくぶつかり合って、傷つけあいすぎると、両者が信頼する仲裁者でもいない限り、関係の修復はかなり難しくなりつつあります。

といって、互いに傷つけあうことを避け、優しい関係を保つために、お互いに深い関係に陥ることを避けすぎてしまっても、両者の関係は浅い表面的な関係になります。またそうした関係のときほど、いざ両者が不一致となって対立したときに、お互い傷ついた気持ちの処理の仕方がわからず、むしろとことん傷つけあってしまうことすらあります。

このように考えてくると、ほどよい距離」というものは、あらかじめあるものではなく、一緒に悩み一緒に歓ぶなど、時間を掛けながら形成していくしかないことが明らかになってきます。

現代社会は、人間関係がごく限られた身内かそれ以外の多くの他人というように二極化し、「中間領域的な世間の人々」が不在化してきた時代です。その結果、対人関係において、「ほどよい」距離を身につける機会が少なくなりつつあります。

それだけに、「身内でもなく、あかの他人でもない」「親密な他者」を持てることが「ほどい距離」の感覚を身につけるためにとても大切になってきているといえます。

ホロニカル・アプローチの実践から生まれたホロニカル心理学では、対人援助職にある支援者が、「ほどよい距離を」をもった「親密な他者」となることをとても重視しています。