「あそこにあるあの樹は感性的経験的な一つの個物であって、『本質』ではない、といわれるかも知れないけれど、意識の『滑り出し』の方向を規定する点において、そこには既に原初的,第一次的な『本質』把握が、少なくとも前反省的、無自覚的、気分的了解という形で、なされているのである。」とは、井筒の論考です。
では、「あそこにあるあの樹は」と「意識が何かを志向する前」までに経験そのものに立ち戻れば、ホロニカル心理学が重視する自己と世界の出あいの一致の体験(ホロニカル体験)となり、「前反省的、無自覚的、気分的了解」のさらに前の直接体験ということになります。
<参考文献>
意識と本質,井筒俊彦(1991年),岩波書店.p10.