
虐待の経験を持つ子どもたちは、支援者に対して「テスティング」と呼ばれる行動を示すことがあります。
これは、子どもが支援者やその提供する環境を試す行動であり、支援者の援助が受け入れられるかどうかを確認するためのものです。支援が始まってから一定期間が経過した時に特に見られる現象で、これまでに深く傷つけられた子どもが防御の鎧を外した時に現れる強烈な感情が、支援者がどれだけ受け止められるかを試すものです。過去に抱いた怒り、見捨てられることへの強い不安、自己否定や他人への罰の傾向、絶望感などが、支援者の些細な言動によって引き出され、溢れ出てくるのです。
支援者がこのような傾向を理解していないと、子どもの急激な変化に対して支援者自身が怒りや絶望感、無力感を感じることになります。場合によっては、子どもの挑発的な言動によって、過去の加害者のような行動を取ることになるかもしれません。また、逆に無力感を感じて燃え尽きてしまうことも、よく起こります。
信頼関係の形成は、過去の虐待体験が支援者との関係で再現されても、支援者が適切な支援者として生き残ることができるかどうかにかかっています。
意図的なルール違反や挑発的な行動に対して、支援者がかつての加害者とは異なる一貫した対応ができるかどうかがテストされます。このような試練を乗り越えるためには、支援者が一人でケースを抱え込まず、ケースカンファレンスやベテランによるスーパービジョンを利用することが必要です。また、支援者自身が抱え込んで未処理のままの心的課題が子どもによって刺激される場合には、支援者自身が自己分析を受けることが、子どものためにも支援者自身のためにも必要です。
このような危機を乗り越えた子どもと支援者の間では、子どもが過去の経験からくる不安や恐怖を克服するための新しい関係に対する信頼関係を築くことができます。