自己とは(19):歴史的文化的に自己組織化されていく自己

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ホロニカル心理学の視点から眺めると、自己、すなわち「意識と無意識」や「個体的意識と自己超越的意識」を抱えもつ“わたし”は、他者と峻別される固定的な実体ではありません。むしろ、それは「自己と世界の出あいの不一致」と「自己と世界の出あいの一致」という二つのフェーズを折り重ねながら歴史・社会的に自己組織化される動的なプロセスと考えられます。

まず、自己は世界と対立し、違和感や葛藤といった〈不一致〉を経験します。ここで生じる反省的意識は「私は世界とは別個である」という感覚を強化し、自己を“人格的実体”として感じさせます。しかし同時に、ホロニカル心理学でホロニカル体験と呼ばれる自己と世界の関係が一致し両者の関係が無境界となる前反省的直覚の瞬間も、人間に固有の深層経験として立ち顕れます。ホロニカル体験では、自己は自他の区切りを超え、“世界とかさなり合う私”として顕れます。

重要なのは、この〈不一致/一致〉の往還こそが、私たちの自己意識を絶えず組み替え、歴史的文化的にしていくという点です。自己が“完成された実体”としてすでに存在するのではなく、関係の中でその都度、「生成される“場”」のようなものといえるのです。

これがホロニカル心理学が提起する自己観の核心になりつつあります。

したがって、心理社会的支援の現場では「不一致」を単なる問題として排除するのではなく、それを契機に新たな「一致」へ移行する創発プロセスとして扱うことが大切になります。支援者と被支援者が協働し、ホロニカル体験を安全に増幅・拡充していくことで、それぞれの自己はより柔軟で多層的な自己意識へと編み直され、世界との創造的関係を再構築できると考えられるのです。