
近代以降の心理学は、主客二元論に基づく主体重視の視点や、理性・感情・意志といった要素を分断的に扱う近代科学的理性や知性中心主義の枠組みの中で発展してきました。しかし、その限界が明らかになるにつれ、“こころ”の働きを、内的世界と外的世界を切り離さず、両者を統合する立場から見直す必要が高まっています。
“こころ”には、多様化と統合化という、一見相反するはたらきが同時に存在し、互いにせめぎ合いながら同一の場で作用していると考えられます。この動的な二重性こそが、変化する現実において自己と世界を更新し続ける源泉となるのです。
ホロニカル心理学では、この根源的な二つのはたらきを、「Es(エス)」と「IT(イット)」を内包する「それ」によるものと仮説しています。
「それ」は、多様化を促しながらも統合化を図る、生成と秩序づけの双方を担う力として、“こころ”の奥底に働き続けているのです。