
もともとある現象を、何かを付け加えることなく、ただあるがままに実感し、意識化していくこと、それが「自覚」です。
自覚とは、現象を概念化して理解することではなく、“こころ”のうちに直接体験として響いてくる出来事を、評価や判断を超えてそのまま受けとめる行為です。言いかえれば、出来事と自己とが出あうその一点において生じる「気づき」のことを指します。
この自覚は、一度きりの固定的な出来事ではなく、直接体験における「不一致」と「一致」との往還を通して、絶えず深まっていく動的な過程です。矛盾を排除するのではなく、その矛盾そのものを包み込むように感じ、受け入れていくことが、自覚の成熟に他なりません。
したがって、自己意識の発達とは、知識の拡大ではなく、自己の“こころ”がより深く世界と共鳴しながら、自らを自覚していく過程といえます。自覚の浅さと深さの違いは、単なる情報量の差ではなく、自己と世界との「つながりの深度」の差です。
自覚とは、不可視のものを可視化し言語で説明することではありません。むしろ、言葉を超えて“こころ”が意味そのものに触れる体験、つまり「腑に落ちる」ことそのものです。それは、自己が自己を知ることではなく、世界の意味そのものに目覚め続けていく、動的な覚醒のプロセスといえます。