
“こころ”は、多様化と統合化という一見相反する作用を持つと考えられます。多様化は個性化とも言い換えられ、一般化の否定を意味します。個性化した“こころ”は、その部分自身で自律的かつ自己主張的な存在として振る舞おうとします。同時に、部分を包摂するより統合的な全体も、それ自身でより一般化された自律的全体として振る舞おうとします。
部分が全体を包摂し、全体もまた部分を包摂する関係を、ホロニカル心理学ではホロニカル関係と概念化しています。例えば、家族と家族員、組織の一員としての個人と組織全体の関係にもホロニカル関係が見られます。さらに、物理現象や生物学的、生態学的な構造にも、部分と全体に関するホロニカル関係を見いだすことができます。
あらゆる存在がホロニカル関係を持ち、部分であり全体という二重性を持っていると考えられます。自己と世界の関係もホロニカル関係にあります。自己は、世界を自己内に包摂しつつ自律した個性的存在として自己を自己組織化し、同時に世界によって創造された一部分として自己超越的な存在となり、世界の自己組織化に参加します。
しかし、部分と全体のホロニカル関係が何らかの要因で崩れると、部分が全体から離れて暴走したり、全体が部分の自律性を過度に制御したりすることで、部分と全体のバランスが崩れ、さまざまな障害や症状、問題が発生する可能性があります。