-内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ-
ホロニカル・アプローチとは、“こころ”の深層から、身体、関係性や社会に至るまで、自己(部分)⇔世界(全体)の関係を自由無礙じゆうむげに俯瞰しながらアプローチするもので、フロイトやユング、家族療法、プロセス指向心理学、システム論、ナラティブ・セラピーに加え、西洋哲学から東洋思想までをバックボーンに、生命力の溢れる情感をともなった“こころ”そのものの体験を扱っていく心理相談の思想および技法のことです。

※ 詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著書の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ)」(遠見書房,2015)を参照ください。

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サイコモデル図法

内的世界や外的世界との関わり方のパターンを図式化したり、象徴的に描画したりすることで、自分のパターンの意識化を促進するための心理教育的手段を「サイコモデル図法」と呼びます。

蓄積されたサイコモデル図は、ほかの人にも共有する意味あいを帯びることもあります。 全く同じということはありませんが、何か類似する潜在的共通性を刺激するものがあります。そのため、サイコモデル図を蓄積していくことは、臨床の知の財産化の意義をもちます。

-サイコモデル図法の事例-

不登校状態にある高校2年生の女性(仮称:智子さん)。「クラスの女の子たちの個性と似た部分を自分もこころの中にもっているような気がする」といって下記のような図を自ら描きだします。

彼女のこころの中には、「Aさんに似た部分がもっとも強くある」と言います。同じように、Aさんほどではありませんが、「Bさん、Eさんにも似た面がある」といいます。その上、「今はあまり意識できていないけど、ひょっとしたら今自分が嫌っているDさんやEさんのような面が隠れているか知れないし、自分自身が見ようとしていないだけかも知れず、いずれその存在に気づくようになるかもしれない」と語るのです。そして「新たな自分の部分に気づいたときには、DさんやEさんのことを今よりもっと受け入れられるようになっているかもしれない」とまで語るのです。

彼女は、明らかに以前より自分のことを多面的に捉え直します。しかも、この捉え方は、自己理解を越えて、彼女の他者理解のための新たな枠組みとなっていきます。

この図を描きあげた智子さんは、新たな生き方を発見したかのように登校を再開しはじめます。

彼女の示したこのサイコモデル図は、その後、彼女の同意のもと、他の多くの方々の面接でも活用されて、新しい自己イメージの形成に役だっていきました。

彼女の示した自己イメージは、価値の多様性の時代の中に人と人が共存しながら生きていこうとする時の智慧が含まれているといえます。しかも、彼女の自己イメージは、華厳教の語る世界と驚くほど類似しているのです。

※詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ」(遠見書房,2015)、または、定森恭司・定森露子共著の「ホロニカル・アプローチ:統合的アプローチによる心理・社会的支援」(遠見書房,2019)を参照ください。