-内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ-
ホロニカル・アプローチとは、“こころ”の深層から、身体、関係性や社会に至るまで、自己(部分)⇔世界(全体)の関係を自由無礙じゆうむげに俯瞰しながらアプローチするもので、フロイトやユング、家族療法、プロセス指向心理学、システム論、ナラティブ・セラピーに加え、西洋哲学から東洋思想までをバックボーンに、生命力の溢れる情感をともなった“こころ”そのものの体験を扱っていく心理相談の思想および技法のことです。

※ 詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著書の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ)」(遠見書房,2015)を参照ください。

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場面再現法

直近または過去の出来事や夢のある場面を間取り図的に再現したり、登場人物や事物を小物などを使って外在化し、あたかも映画のように特定の場面を俯瞰的に再現する方法を「場面再現法」と呼びます。

場面再現に際して、再現の視点(カメラの視点)をどこにもっていくかで、再現される内容が異なってきます。

例えば、
・自分からみた自分を俯瞰
・自分からみた他者を俯瞰
・他者からみた自分を俯瞰
・自分と他者の関係を俯瞰
・外我(外面)からみた内我を俯瞰
・内我(内面)からみた外我、
・トランスパーソナル的存在(超個的主体)からみた自己を俯瞰
・自己からトランスパーソナル的存在(超個的主体)を俯瞰

などは、すべてカメラの視点の違いといえます。

場面再現法によって、“こころ”の内・外の状態を再現し、カウンセラーが共有することで、来談者の方とカウンセラーの間の信頼や協働的関係が一層深まります。

場面再現後は、ある場面に外在化された小物(人や自己のある側面)同士でカメラの視点を交互に切り替えるようにした対話を試みてみたり、面接時のクライエントと面接時に外在化された小物との能動的対話を促進したりすることによって、こころの内・外の不一致感の統合化を促進することができます。

場面再現法は対話法とか超俯瞰法とうまく組み合わされると、人生脚本の書き換えが可能となり、新たな生き方の発見・創造につながっていきます。

場面再現法が他の技法とうまくかみ合ってくると、これまでは“こころ”の奥にしまい込んでいた過去の心的な傷や気持ちなどが明らかになってきて、これまでとは全く新しい展開がごく自然に起きたりします。こうした現象は、自己自身が自己と世界の一致を求めて、より全体的で、より器の大きな自己になろうとするために自然に起きてくる現象です。

-場面再現法の事例-

中1のA子さんは、「いつも教室で、クラスの女の子に無視されている」と語るため、教室での場面を白い紙や小物を使ってA子さんに再現してもらいます。

すると、B子・C子・D子・E子の4人が、休み時間に輪になって、「楽しそうに話し合っている」場面を再現します。どうも他のクラスメートのことは、ほとんど眼中になく、4人の女の子の言動ばかりが強くA子に意識されていることがカウンセラーに明らかになってきます。

そこでA子さんに、
<みんなが無視していることはどのようにしてわかるの?>と質問します。
すると、A子さんは
「何か私の悪口をいっているように思える」と語り、実際には、悪口を誰からも言われているわけではないことがわかります。

そこで、再現された場面を半回転させて、

<では、B子さんたちには、A子の振る舞いは、どのように見えていると想像する?>と尋ねます。

すると、A子さんは、
「なかなか自分から入ってこなくて、どうしたらいいかと迷っているかもしれない」と語りだします。

このように、場面再現の中で、A子さんは、自分自身で、自分の対人パターンを第三者の視点や相手の立場からも想像する体験を通じて自分の考え方を変化させていきます。

※詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ」(遠見書房,2015)、または、定森恭司・定森露子共著の「ホロニカル・アプローチ:統合的アプローチによる心理・社会的支援」(遠見書房,2019)を参照ください。