-内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ-
ホロニカル・アプローチとは、“こころ”の深層から、身体、関係性や社会に至るまで、自己(部分)⇔世界(全体)の関係を自由無礙じゆうむげに俯瞰しながらアプローチするもので、フロイトやユング、家族療法、プロセス指向心理学、システム論、ナラティブ・セラピーに加え、西洋哲学から東洋思想までをバックボーンに、生命力の溢れる情感をともなった“こころ”そのものの体験を扱っていく心理相談の思想および技法のことです。

※ 詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著書の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ)」(遠見書房,2015)を参照ください。

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対話法

面接中のクライエントさんを観察主体とし、外在化されたある対象との対話を実施したり、外在化された部分対象同士の対話を求める方法を、「対話法」と呼びます。
例えば、
・過去の自分と今の自分の対話。
外我(外面)と内我(内面) の対話。
超俯瞰法によるトランスパーソナル的存在と地上の現実の自分との対話。
・夢の自分と夢の中のあるキャラクターとの対話。

組み合わせは、自由に考え出すことができます。

小物による外在化場面再現法超俯瞰法の中で対話法がよく活用されます。

心理療法の技法のひとつのゲシュタルト療法における「エンプティ・チェア」といわれる技法を応用し発展させると対話法になっていきます。

対話の中で、これまでの思考の枠組みが新しい枠組みに変化することが多いため、認知行動療法と同じような考え方の変容が自ずと起きます。

-対話法(超俯瞰法との組み合わせ)の事例-
「自分は力のある夫や親友に、いつもついて生きてきただけで、自分には何もなく空っぽではないか」という不安に襲われる30代女性(仮称明子さん)との心理面接です。
両親は多忙。おばあちゃん子として育っています。幼少期から現在にいたる自分を回想後、カウンセラーは、オカリナを明子に見立てテーブルの上に置きます。

次のように声をかけます。
<もし、おばあちゃんが生きているとしたら、「自分は空っぽでなにもない」と苦しむ自分を、おばあちゃんはどのようにして支えますか。言葉でもいいし、それ以外の何かどんな方法を使ってもいいので>(超俯瞰法)。

すると明子さんは、
「ちゃんと成し遂げたと、あなたの力だよといってあげたい」「私の周りで起こったことは、私の影響もあったことだし、あなたもやったといってあげるかな」と、空中をぼんやり眺めるような感じで語りだします。

そこでカウンセラーは、
<じゃあ、実際に、この地上の私(オカリナを指さす)に向かってどうしますか>と対話を求めます。

明子さん:「『よく頑張っているね』と言います。」

部屋にある小物によっておばあちゃんのイメージに近いものを選択することを求めます。すると・・。

明子さんは、面接室の中にある小物の中から、観音像を選びます。

<「よく頑張っているね」とおばちゃん観音様に言われたら、どんな気持ちになり、どうしますか?>

と、カウンセラーは、明子さんに見立てたオカリナに向かって声をかけます。

「いつも見ていてくれてありがとう」と、面接中の明子さんは、涙が止まらなくなりながも、カウンセラーに気を遣って、「すみません」と謝ります。

カウンセラーは、明子さんの前にあったオカリナをカウンセラーの前に、観音菩薩を明子さんの前に置き換えて、
<「いつも見ていてくれてありがとう」と言われたら、おばあちゃん観音菩薩は、どんな気持ちになり、どうしますか?>とオカリナに向かって声をかけます。

「私もそうやって他人をみてあげなくちゃあ」と自分自身に言い聞かせるようにつぶやくCl。

カウンセラーは、明子さんの前にあったオカリナを 、カウンセラーの前に、観音菩薩を明子さんの前に置き換えて、<「私もそうやって他人をみてあげなくちゃあ」と言われたら、おばあちゃん観音菩薩は、どんな気持ちになり、どうしますか?>と観音菩薩に向かって声をかけます。

「そこが明子ちゃんのいいところかな」「大丈夫だよ」と、祖母のイメージを観察主体に取り込むことで、「自分には何もなく空っぽ」といっていた否定的自己イメージが、肯定的イメージに変容していきます。

※詳しくは、心理相談室こころ室長 定森恭司著の「ホロニカル・セラピー:内的世界と外的世界を共に扱う総合的アプローチ」(遠見書房,2015)、または、定森恭司・定森露子共著の「ホロニカル・アプローチ:統合的アプローチによる心理・社会的支援」(遠見書房,2019)を参照ください。