
ホロニカル心理学が、自己と世界の不一致・一致の繰り返しの中で、適切な場さえ得られれば、自己は自己と世界の一致に向かって適切な自己自身を自己組織化することができると語る時、自己には予定調和的に明るい統合的未来が保障されていると楽観的に語っているわけではありません。
自己と世界の対立・矛盾に伴う不一致の累積に伴う苦悩や煩悩は、簡単に統合・統一されることはありません。
たとえ内的世界においては、自己と世界の一致によるホロニカル体験に目覚めたり、自己と世界が絶対無に帰入するものであると実感・自覚し苦悩から救済される境地に至ることがあったとしても、すべてが歴史的・社会的に相対立する外的世界においては、自己と世界の不一致が絶え間なく続くからです。
どんなに罪業深き人であっても宗教的次元においては、悪人正機説にあるように煩悩即涅槃を実感・自覚することは可能と考えられます。しかしだからといって歴史的・社会的な罪を弾劾されることから免れることはできないといえるのです。
内的世界と外的世界が、不一致・一致を絶えず繰り返すところに人は生きているといえるのです。