生きづらさを抱えた人に対する心理社会的支援では、特定の理論や技法だけで生きやすさを当事者にもたらすことなどなかなかありえません。生きづらさの問題は複雑であり、“こころ”の多層多次元にわたる問題を有していることがほとんどだからです。
自らの理論や技法が唯一と思っている支援者は、案外、当事者の生きづらさに関心があるというよりも、自分の好みの理論や技法を使って心理社会的支援を行いたいという動機の方が目立つものです。
よき支援者とは、既知の理論や技法を知りつつも、その限界をよく知り、当事者と共に共同研究的に協働しながら生きづらさの問題に向き合っていくという創造的な態度を取るものです。
当事者の自己選択や自己決定を尊重しながら、当事者と共に歩むという関係をとても大切にしているのです。支援者・被支援者という関係からスタートしたとしても、いずれその関係は、ある生きづらさに対して、共に多様な問題解決の道を模索する協働的関係になっていくものなのです。