当事者中心の支援(3):ホロニカル・アプローチの立場から

「あなたのため」と語りながらも、これまでの心理社会的支援は、根源的なレベルで、当事者が支援内容を選択し、自己決定できる立場にはなく、事実上、支援者が身につけている支援法に対して受動的に同意するかどうかの選択権しか与えられていなかったのではないでしょうか。当事者は、事実上、オーダーメイドの服を支援者と協働してつくりあげていくというよりは、沢山あるレディメイドの服の中から、裾あわせ程度の修正を受け入れるしかない状態にあるといえます。

多様化とレディメイド化は、一方でエビデンスのある対応を探究する中で、支援内容が個別性の原理より一般原理が優先するというプログラム化の影の問題や、逆に、エビデンスが不明のまま百家争鳴状態にある既成の心理社会的支援法を前にして、当事者も支援者もどれを選択したらいいのか、ある意味で、途方に暮れだしているという現実も関係していると思われます。

こうした現況を反省する時、もう一度、当事者中心の原点に帰り、当事者中心の支援とはどうあるべきかを捉え直す時期に来ていると思われます。そして、そうしたアプローチは、自ずと当事者との協同研究的協働作業の中で共創されてくるアプローチであり、従前の一派一学派のパターナリズムの影の問題を超克した統合的な志向になると考えられます。

内的世界と外的世界を共に扱う心理社会的統合的アプローチとしてのホロニカル・アプローチは、まさにそうした実践から創発されたアプローチのひとつです。