自己と世界に対する信頼と不信の間を揺れ動くような人に対しては、いくら一般化された常識や倫理・道徳などの規範を説いたところで、適切な変容を見込むことはできません。
こうした人の内的世界や外的世界は、秩序と無秩序が著しく入り交じるカオスの状態にあります。そのためこのカオス状態に、思慮深く、かつ臨機応変に対処するための智慧が求められます。
信頼と不信が交錯する人に対する支援では、当然のこととして被支援者と支援者の間でも信頼と不信の揺れが再演されます。そのため支援は、不信の壁を乗り越えていくような出来事を通してはじめて可能となります。信頼関係はアプリオリにはなく新たに構築する必要があるのです。
ホロニカル・アプローチの様々な技法は、そうしたやりとりの中から生まれてきたものばかりといえます。
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