深い浅いについて

心理療法の場面で頻繁に語られる「深さ」という概念について考察する際、単に内的世界へと沈潜することを「深い」と捉えるのではなく、その深さがどのように外的世界との関係性を築くかが鍵となります。もし、内的世界への没入が、まったく外界との接点を持たず、自己の内部に閉じ込められることを「深さ」と呼ぶのであれば、それは単なる閉塞であり、出口なき暗闇へと向かう危険性を孕みます。

同様に、外的世界の広がりが、内的世界の深さとの接点を欠いたままに展開するならば、それはただ漫然と広がるだけの無限性に過ぎず、ホロニカルな視点から見れば、真に意味のある「広がり」とは言えません。実際、ホロニカル心理学においては、個の内的世界と外的世界の相互作用が極めて重要であり、「深さ」と「広さ」は単独で存在するものではなく、それぞれが相補的な関係にあるとされます。すなわち、心理的な深化とは、外的世界への適応を伴う内的変容であり、それが成されることで、単なる孤立ではなく、より豊かな経験へと繋がるのです。

この視点に立つとき、心理療法の過程において重要なのは、自己の内面を掘り下げることだけでなく、その理解を外界との関わりへと統合し、深さと広がりのバランスを保つことです。ホロニカルな構造を考慮することで、単なる内省を超えて、より有機的な心理的発展へとつながるのではないでしょうか。

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