加害者による説明責任と償い

犯罪被害者には、次のような問いがはじまります。

「どうして、この私(私たち家族)がこんな目に遭わなくてはならないのか」と。しかしこの問いは、いくら憤怒や復讐心を募らせても失ったものは決して戻らぬこの世の理不尽を前にして、被害者を無限地獄に引きずり込む問いでもあります。

しかも被害者は、この問いを加害者に直接ぶつける機会すらほとんどなく、行き場のない気持ちは絶叫となります。

それだけに問いの意味を、たとえ一歩でも前進させるものは、加害者自身による責任ある説明と、その自覚に伴う償いといえます。しかし、日本の現行の制度では、ほとんどの場合、加害者からの説明責任や償いが被害者に向かって直接与えられることはありません。そればかり加害者自身が行った犯罪の意味を問い直す機会を保障されたり、更生教育を受ける機会は少なく、自らの行為の意味を言語化し、その説明責任を被害者及び社会に対して果たし、償い行為に励むことすらでき難い現況にあります。

そのためにも日本の死刑制度や懲役刑中心の制度を、再犯防止の観点からも更生教育、修復的司法、刑期満了後の社会復帰などの観点からも現行制度を見直していく必要があるように思われるのです。

参考文献
家族と国家は共謀する:サバイバルからレジスタンスへ.信田さよ子(2021).角川新書.