共創的支援の事例(7):「アンガーマネジメント」の受講勧奨に抵抗を示したある母親(最終回)

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共創的支援の事例(6)の続き

「第2回カッと虫大作戦」は、上司Dは、緊急ケースへの対応のため欠席です。その代わりに、上司Dの勧めで、まだ新卒1年目の児童福祉司と児童心理司が研修を兼ねて参加します。

児童福祉司Bが、前回に課題となった食事場面を取り上げようとすると、親子が一緒になって、「それはもういい」と、あっさりと答えます。理由を求めると、前回面接の後から、子どもYは食事になると席につき、2人でTVをみながら食事をとっており、一切、食事の時のゲームでもめることはなくなったとのことです。前回参加者からすれば、拍子抜けするほど、親子とも言い切ります。そして、「それよりも・・」とすでに親子で話し合うテーマを決めてきたようで、「ゲームをする時間」をめぐる諍いを取り扱って欲しいと訴えます。支援者からすれば、親子関係の著しい変容です。

「第2回カッと虫大作戦」の進め方は、第1回と同じです。
第2回は、第1回の体験があるのか、とてもスムーズに展開します。特に若い児童福祉司や児童心理司は、子ども時代にいつも親子でもめたテーマだけに、実体験から、いろいろな提案がされ、第2回は、とても楽しい雰囲気のまま終了します。

その後、児童相談所側は、まず家庭から子どもを一時的にも保護する必要性がなくなっただけに、そろそろ終了してもとの思いがありました。が、今度は母親Xと子どもYが、「カッと虫作戦会議」の場がなくなることへの強い不安を示し、むしろ積極的に継続的な支援を求めてきます。その結果、一堂は、月1回での実施を取り決め、もし今後されに安定化してきたら、支援の場所を市役所に移し、共創的ミーティングのメンバーも、子ども民生課、スクールカウンセラーや担任などの参加を求めていくことが話し合われます。

その後、この事例は、相談員Aのもとで、学校の場で共創的支援が実施されます。学校の場では、子どもYのトラウマ反応からくると予測される過敏性や過覚醒やこだわりの強い特性からくる対人トラブルについて、タイム・アウト法などを適宜採用するなどしたことによって、学校生活も安定していきます。また、ちょっとした出来事が引き金となりしばしば起きる子どもYのトラウマ性のフラッシュバック現象に関しては、トラウマセラピーの詳しい開業の臨床心理士のところに子どもY自身が数回通うことなり、その後、フラッシュバックも改善していきました。

(終わり)

 

解説:子ども虐待への対応では、まず日々の生活の場が、家庭から子どもを分離する必要がない程度にまで、家庭が安全で安心できる環境になることが大切です。しかし、そのためには、周囲が親の養育態度に対する注意喚起を中心とした指導・助言だけでは、親自身が子ども時代から逆境に育っている場合などではほとんど効果がありません。必要なのは、当事者参加型の共創的支援のような適切なほどよい保護的ネットワークの構築がまずは重要です。共創的支援の場の構築の効果は、問題解決を共創する場自体が、ほどよい保護的容器となって、共創的場の作用が当事者の新しい自己自己組織化の契機となっていくのです。。

トラウマケアやトラウマセラピーの勧奨も、当事者の日々の生活環境がある程度安定化し、かつ当事者自身が自らの自己違和感に対して適切な観察主体をもっていないと、トラウマの受傷そのものを否定したり、問題視されること自体に過剰な警戒感や不信感を抱きます。共創的支援の場の構築は、トラウマに特化したセラピーや治療の土台を構築する支援といえます。

地域社会や地域関係機関からの虐待通告が指数関数的に増加する社会にあっては、共創的支援の場づくりが課題といえます。

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