ホロニカル・アプローチの技法のひとつであるスポット法を応用した架空事例を紹介します。なお、架空事例:いろいろな事例を組み合わせて創作されています。
30代の既婚女性の「サキ」は、仕事と家庭の間で揺れ動く複雑な感情に悩んでいました。彼女はカウンセラーの提案によりホロニカル・アプローチの一つである「スポット法」を試すことにしました。
セッションは、サキが「許せない」という強い怒りを表現することから始まりました。彼女はこの感情を「火の玉」と表現しました。そこでカウンセラーは、「火の玉」を赤の色紙で炎の形で切り取り、それをスポット(A4のコピー用紙にあらかじめ描かれていた直径10㎝程度の円。用紙は横長におかれている)の中心に置きました。
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そしてカウンセラーは、<では、次に、この「火の玉」を円の中心から外に出ていってもらってください>と指示します。この時、どれだけ離すかはサキの自由と伝えます。するとサキは、円の線から少し離れた右上に「火の玉」を遠ざけます。
遠ざけたのを待ってカウンセラーは、<では次に“こころ”の奥から湧いてくる次の感情はどんな感じですか>と尋ねます。すると、しばらく黙想しながら、彼女は、「悲しみ」を感じますと語り、灰色の色紙を使って「雨雲」を切り出し、スポットの中心部に置きます。
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<では、この「雨雲」を、どこでもいいので、円の中心から外に出してください>とカウンセラーが指示します。すると彼女は、「火の玉」とは、ほぼ対角線を作る位置に「雨雲」を置きます。
さらに次に湧きあってくる感情の探求を深めると、「寂しさ」が浮かび上がり、それは「ひとりぼっちの木」で表現され、茶色の色紙で枯れ木のようなものが切り取られます。そして、左下の線上に置きます。
最後に、サキは「冒険したい」という新たな感情を見つけ、それを「羽ばたく鳥」で表現しました。青い色紙で「青い鳥」として外在化します。
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サキは、スポット法を通じて、怒りの奥にある複雑な感情を俯瞰する中で、今、当面できること、したいこととして、「ひとり旅をすること」を自己決定しました。
このようにスポット法は、サキが自分の感情を探り、理解し、統合する手助けをしました。これにより、彼女は自分自身と向き合い、自己理解を深めることができました。