
過去の深刻なトラウマ体験に意識を向ける事は大切ですが、それを必ずしも語る必要があるとは限りません。大切なことは、「今・ここ」における被支援者の観察主体が、過去のトラウマ体験に圧倒されることなく、安全かつ安心できる場において、過去のトラウマ記憶としっかりと向きあい続けることができるような適切な観察主体の樹立を徹底的に支援することです。
過去のトラウマ記憶を、「今・ここ」において目撃し続けるという二重の意識を作り出すことが重要になるのです。
言語化ができるときとは、むしろ、すでに適切な観察主体が樹立し、過去に圧倒されることなく、過去と現在の体験の区別ができ、過去のトラウマ体験が現在を支配することなく,すでに過去の出来事になっているときといえます。
言語化可能なときとは、ABCモデルの適切な観察主体C点が構築されているときと考えられ、もしC点が構築されない状態で、過去のおぞましいトラウマ体験の記憶を語り出すと、観察主体は、A点に固着し、ますます困難な状態に陥ることになります。
大切なことは、A点固着状態を無批判・無評価・無解釈の態度でもって俯瞰し、A点固着状態に陥る自己をあるがままに包摂することにあるといえます。