
我たちは誰でも圧倒的な力によって支配され、逃げることも反撃することもできない状況に陥った時、生命の保全を優先させるために、本来、自ら取りたかった防衛行動や感情表現は、皮質下レベルにトラウマ記憶として刻み込まれることが最新の研究で明らかになってきています。
この結果、些細な行き違いや自己違和的体験に遭遇すると、過去の脅威との区別が理性によって識別されることなく、過去のトラウマ記憶が反射的にスイッチオンされ、身体が過度に警戒し麻痺したり、逆に未表出だった激情が噴出したりします。
このような未完了の防衛反応に対処するためには、2つの方向性が考えられています。
1つ目は、現在と過去の区別を明確にすることです。被支援者にとっては自らの力でそれをする事はできなくなっていますから、支援者が被支援者と共創的関係を構築して、共創的俯瞰の立場から、冷静に過去の出来事と今現在の違いを明らかにしつつ、今現在から過去の出来事を過去のものとしていくような対応が必要となります。
2つ目は、今現在において過去の体験のような反応が出ている限りにおいて、その時には未完了になったままの防衛行動をより適切な形で表出することを促すことです。そのためには、「今・ここ」という支援の場が被支援者にとって安全であり、かつ安心できる場であるということが身体の奥から体感されていることが条件になります。「今・ここ」が安全で安心できる場においてこそ、過去の出来事を安心安全に支援者は表出することができるし、その時には未完了だった行動を「今・ここ」において遂行し、自己自身の身におきた体験として全体的自己に統合することが可能となります。