
未完了のまま凍結されてしまった過去のトラウマ体験を、私たちはどのように扱うべきでしょうか。トラウマケアにおいては、「今、ここ」という安全で安心できる支援の場で、完了の見込みがある能動的かつ具体的なイメージを描き出すことが非常に重要です。過去のトラウマ体験は、単に無視するのではなく、支援の場で適切に変容させることが可能です。
私たちの身体は、どんな危機的な状況においても、適切な自己を自己組織化する力を持っています。しかし、強烈なトラウマ体験はその力を奪い、トラウマに似た出来事に遭遇するたびにその力を失わせてしまいます。とはいえ、安全で安心できる場を得ることで、過去のトラウマ体験は変容し、私たちを守る力として新たに生まれ変わります。
このプロセスを加速するためには、過去の出来事を無批判・無解釈・無評価の姿勢で受け入れ、共に歩んでくれる同伴者の存在が重要です。支援の場において、すべての体験プロセスをありのままに共にすることができるという、安全かつ安心できる体験が、過去の出来事の想起以上に、より適切な自己の自己組織化を可能にします。
ホロニカル・アプローチの能動的想像法、スポット法や三点法などが、この変容を促進する上で非常に有効な手段となります。未完了のままであったために、その後過剰に形成された無力感や主体感喪失、絶望感が、変容を経て有力感、自己肯定感、希望などに変わり、適切な自己を自己組織化する力を育んでいくことが可能となるのです。