トラウマの扱い方(32):子どものトラウマ的遊びをどう見極め支えるか

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トラウマを抱えた子どもが、その体験を再現するような遊びに没頭することがあります。このような遊びには、支援者として慎重に見極めるべき重要ポイントがあります。

ひとつは、遊びが過去の体験を“語り”や“浄化”のプロセスとして再構成し、現在の自己に統合しようとする働きを持っている場合です。このような遊びは、トラウマ体験を乗り越えるための意味あるプロセスとなります。ここでは、遊びの主体は子ども自身にあり、自己調整的な働きがうかがえます。

しかしもう一方で、過去の恐怖体験にただ突き動かされ、強迫的に同じ内容を繰り返してしまうような遊びもあります。これは、トラウマが現在の子どもを支配し、主体性を奪ってしまっている状態といえます。子どもが目を見開いたまま表情が硬直していたり、呼吸が浅く速くなったり、動きが過度に興奮的あるいは麻痺的であるときは、今この瞬間が過去の支配下に置かれていると考える必要があります。このような場合、支援者は遊びを一旦止め、まず「今・ここ」が安全であるという身体的実感を子どもに回復してもらうことが重要です。子どもが“今”に戻れる環境を整えることこそが、回復への第一歩となるのです。

トラウマ的な遊びを見極める最大の鍵は、周囲の支援者の「態度」にあります。支援者が、「今・ここ」が安心で安全な空間であるという確信を持ち、それを非言語的にも伝えることが求められます。支援者自身がトラウマに圧倒され、身動きできなくなっているようでは、子どもにとっての安全基地にはなりえません。

子どもが「語り」を始められるのは、支援者との信頼関係があり、その関係性の中で過去を共有し、受け止めてもらえるという感覚が得られたときです。初めてそのとき、過去が現在の中に位置づけられ、未来への希望が芽生えていく可能性が開かれるのです。

ホロニカル・アプローチABCモデルで表現するならば、A点に位置するトラウマ的な出来事が、B点すなわち支援者との現在的な関係性において“包まれる”経験となることで、C点における自己の再構築が促されます。

このプロセスでは、過去への接触(A点)が、今この場の安全な関係性(B1点)によって支えられていることが重要です。もし、B点が崩れ、不安定になっていると感じられる場合は、トラウマへの接近は一旦止め、B1点すなわち「今・ここ」の安全・安心を再構築することが優先されるべきです。

トラウマのケアにおいては、ただ過去に触れるだけではなく、「今・ここ」をしっかりとした基盤としながら、未来へとつながる時間軸の回復を支援する姿勢が大切なのです。