
物を対象とする自然科学領域では、理性によって導き出される理論を実践に応用することが可能です。しかしながら、心理社会的支援領域においては、実践と理論が統一されることが望まれます。実践即理論・理論即実践です。
物を対象とする領域では、理論的に導き出された理論の妥当性や信頼性を実験や実践で検証し、理論に修正を加えていくことが可能です。しかし、生の人間を対象に理論や技法を実験的に検証することは倫理的に問題があり、危険です。むしろ、心理社会的支援では、一瞬・一瞬が実践即理論、理論即実践であり、両者は不可分一体です。理論化は一瞬・一瞬の実践を、支援者自らが対象化し、その有効性の中から妥当性と信頼性を持つ技術や技法を創造することが重要です。一瞬・一瞬が絶え間ない実践であり研究であり、理論化の場です。
実践即理論・理論即実践のパラダイムは、実践現場から距離のある学会や大学、大学院教育における研究の場との関係を整理する必要があります。実践即理論・理論即実践は個別的で直観的であり、先駆的で先見性がありますが、独我論に陥る危険性があります。そこで、実践現場を離れた研究においては、先駆性や先見性のある個別的に有効な実践即理論・理論即実践を、学会や大学、大学院などのアカデミックな立場にある専門家が実践家と協働して、学術レベルでも一般性のある理論や技法として精錬することが求められています。